膠着状態を打開する(地震のあった日曜日の電車内)

今日(正確には昨日)は、都内南部を飛び回っていて気忙しかったので、相変わらず電車から一旦降りて、他の降りる人を通してあげようとしない人が多い、ということ以外、これといって気になったことがなかったような気がするので、この前の地震があった日曜日の話をします。

その日、私は、埼玉の実家を20時過ぎに出て電車で都内の我が家に向かう途中、大宮で電車が大揺れ。しばらく停車して、その後も徐行運転。やっと上野に着いて、山の手線に乗り換え。ここでも線路内を徒歩で安全確認中とかで電車動かず、という社内での出来事。

当然、徐々に人が増えつつある車内。車両の連結部近くの席に気になる人物がいました。彼、私と同い歳くらいでしょうか。いや、40前後でしょうか、背も横もあり100キロ以上は確実にありそうな体格で、ただでも座席を占有しているのですが、なんと座っている横にスポーツバッグ様のものを置いているではありませんか!立っている人も増えだしているのに。

私の悪い癖ですが、そういう輩を見るとついついガン見しちゃいます。決して上品な行動ではありませんが、そういうの、どうしても許せないんです。で、彼とは目が合った(気がした)ので、当然、バッグを網棚に上げるか足下に置くかと思ったら、知らんぷり。頭に来て、ずっと見続けたんです。大人げない行動ですが、自分なりの考え方があってのことなんです。声に出して注意しちゃうと、相手を晒し者にするだけで私への恨みだけが残るだろうし、その場の空気も悪くしちゃうだろう、だから、「視線で俺の言わんとすることを理解せよ」ということです。敢えて性善説に立って、気付いてもらおう、という私なりの配慮なんです。もっとも、この時点で、相手がバッグをどけても私自身は何となく座りにくいですけどね。「お前が座りたいからだろ?」と思われたら嫌ですから。実は、小心者(^-^;

まあ、それはともかく、「あれっ、視線が合ったのは勘違い?」というくらい、知らんぷり。いや、でも、明らかに私の存在を気にしている。完全に膠着状態。通常なら、時間が解決するけど、電車が動かないので、いつになったら終わるか分からない。こちらも、もしこのまま見てたら、「なんだ、この野郎!」って絡まれるかな?言い返しても、「口で言えばいいだろ?」って返されるかな?そしてら、「あなたのことを思って口に出さず、合図を送ったんですよ」って言おうかな?いや、いきなり向こうが暴力を振るってきたらどうしようかな?やはり、ローキックで足を攻めようかな?いや、やはり逃げるに限るかな?なんて、一人馬鹿なシミュレーションしてたんです。

その時、あることを思い出して、携帯を見るふりして視線を彼から逸らせたんです。少し経って、彼の方を見ると、予想通りバッグが席から消えていました。彼が抱えていたのです。そう、私がガン見し続けるものだから意固地になっていたんですよね。見られている時にバッグをどかすと負けた感じがして。

たまたまそのタイミングだったんじゃない?という声もありそうですが、以前にも似たようなことがあったんです。それは、混んでいる電車で立っているときのこと。目の前に座っているチンピラ風が足を組んだままで、その足が私の足にしょっちょう当たるんです。そこで、同様に目で知らせていたら、しばらく知らんぷり。でも、わざと、次の駅を確認するように斜め上を見上げたら、その間に足を下ろしていた、ということがあったんです。それを思い出したんです。

以前、拙著の中で、「相手をとことん追い詰めちゃダメ。有利な立場に立った時ほど、相手にどこか逃げ道を作ってあげた方が、「窮鼠猫を噛む」になる危険性も減り、問題の解決につながる」という趣旨のことを書いたことがあるのですが、視線を逸らしてあげることが、その逃げ道なのではないか、と思います。

リスク管理の観点からは、君子危うきに近寄らず、で、そういう輩は放っておく方がいい、という意見もありそうですが、人に故意に迷惑を掛けている輩を放っておけない性分は治せそうになりません。危機管理コンサルタントを名乗りながら矛盾しているように聞こえるかもしれませんが。もっとも、前記の通り、頭の中でさまざまな対応をシミュレーションしたり、逃げ道を思い描いたり、ということはしていますよ。

以上です。

今回が実質的な初回、人によっては「しょうもない」と感じられたかもしれませんが、ある膠着状態の打開策として、押すばかりでなく、すっと引いてみる瞬間を作る、というのは使えるテクニックだと思います。

もし最後まで読んで下さった方がいらっしゃいましたら、特にオチのない長文に最後まで付き合っていただき、ありがとうございました。

明日は、スマホ(また電車内!?)について取り上げる予定です。