チリングエフェクトと風評被害

昨日の記事へのアクセスが100を超えていました。FBで「いいね」を押してくれなくても、目を通していただけでありがたいことです。ありがとうございます。

それで調子に乗るわけではありませんが、今日も書きます。

皆さんは、「チリングエフェクト」という言葉をご存知でしょうか?

法律を学んだ人にとっては、「法令の文言や表現が抽象的で、その範囲が不明確なため、本来自由にできるはずの行動や表現を自主規制してしまうこと」として既に周知のことかもしれませんが、心理学でも、この「萎縮効果」は使われます。

私も、以前、拙著「ゴネラーへの処方箋」で、

「相手から抵抗されたり反発されたりした経験から「チリングエフェクト」状態に陥り、本来やるべきことをやらない「不作為」は問題だ。迷ったら、正義感に基づいて積極的に一歩を踏み出すべき」旨書いたことがありますし、前々職の研修、講義等でも繰り返し伝えてきましたが、昔から言われる「羹に懲りて膾を吹く」も、一種のチリングエフェクトと言えるのではないでしょうか?

さて、この「チリングエフェクト」、私は、「風評被害」と無関係じゃないと思うんです。

 最近で言えば、東日本大震災にまつわる風評被害がよく取り沙汰されますが、一度、労務管理上の不備から「ブラック企業」との風評がマスコミを賑わせると、その後改善されても、なかなか一度貼られたレッテルは剥がされません。また、反社勢力と付き合いがあるとの風評が流れると、(きちんとした検証もされずに)レッテルが貼られ、これもなかなか剥がされません。

まさにこれが「風評被害」として、関係者を悩ますことになります。周囲の関係者・企業は、その風評が正しいかどうかの検証を行わないまま、実態と違うレッテル、改善される前のままのレッテルが貼られている企業とは付き合わないようにしよう、という「チリングエフェクト」を発動させちゃいます。

一生懸命再起を図っても、周りのチリングエフェクトも手伝って、なかなか環境が改善しない企業、ましてや元々流言飛語の類にもかかわらず無責任な噂がレッテルによって取り引きしてくれなくなった取引先がチリングエフェクトから検証さえしてくれず取引を再開してくれない、ということもあるようです。

最近は、この状況を悪用しようとする輩が、トラブルの相手やライバル企業を貶めるために、ネットやマスコミに嘘の情報を流したり、警察等行政機関に嘘の通報をしたりしているようです。もちろん、我々自身がその情報を検証できればするに越したことはありませんが、それがなかなか難しい。だからと言って、警察等行政機関に、慎重な対応を求め過ぎると、警察等の腰が「チリングエフェクト」によりさらに重たくなってしまいそうで、なかなか難しい問題です。

前回、人間は、どうしてもレッテルを貼ってしまうもの、と書きましたが、それをなかなか剥がさないのも、また人間です。レッテルを貼られた企業が「それは違うんです」と言っても、レッテルってなかなか剥がそうとしないんですよね。確認が面倒くさいのもあるかもしれませんが、やはり、「敢えて風評のある企業と付き合う必要ない」というチリングエフェクトでしょうね。

レッテルなんて、誰でも安易に貼っちゃうもんなんだから、客観的な証拠のない、又は証拠と思われていたものがねつ造と分かったら、レッテルを剥がしてあげる勇気も必要なんではないでしょうか?それがマスコミや大企業であれば、なおさらです。

レッテル貼りも、チリングエフェクトも、人間の性的なものですので、それ自体を無くすのは無理だと思いますが、前述の通り、間違ったレッテルを貼ったマスコミや大企業の社会的責任という観点もありますので、今後も「風評被害」については、考えていきたいと思います。